学部・研究科・附属病院の歴史

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看護学部・看護学研究科

看護学部の現在

カリキュラム

 看護学部は、平成11年(1999)に短期大学からの改組によりスタートした。その後平成15年(2003)には修士課程が、平成17年(2005)には博士後期課程がスタートした。開設当初のカリキュラムは、学部設置の趣旨に合わせて作られていたものの、その後の大学院の開設等により学部の位置づけが変化したこと、社会の看護への期待や要望、そして教員組織編成等も含めて教育課程検討の必要性が生まれ、平成20年(2008)度に新たな教育課程の編成が行われ現在に至っている。
  平成20年(2008)度に編成されたカリキュラムは、教養人としての、また看護専門職者としての成長という目的が達せられるように構成されている。具体的には、学部から大学院までの9年間における基礎教育との考えを根底に置きつつ、本学部における卒業時の到達目標を明確化した上で、平成16年(2004)度の「看護学教育の在り方に関する検討会(文部科学省)」で示された看護実践能力(5領域19項目)、及び「看護基礎教育の充実に関する検討会報告書(厚生労働省)」に示されている新しい教育内容を満たすことができるように配慮した。特に、本学部の特徴としては、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に準拠しながら、「健康問題」と「それに必要な看護・支援」を主軸に「発達段階」と「生活療養の場」を考慮した枠組みとなっている。また各科目の担当者やその方法においても、専門性の深化と専門性の集約の両者を意図した構成を試みている。それらは学年毎に学修が積み上がっていくような構造になっている。
  教科目としては、教養人をめざした教養科目と、看護専門職者をめざした専門科目の基盤を成す専門基礎科目・専門科目を設けている。教養科目30単位以上、専門基礎科目31単位以上、専門科目67単位以上並びに専門基礎科目及び専門科目のいずれかの2単位の選択科目の計130単位以上を取得することが卒業の要件となっている。

 はじめに、1年生では、教養科目が学修の大きな部分を占めている。教養科目は、さまざまな学問分野のものの見方・考え方を学ぶことを通して、自己の人間形成を生涯に渡って図っていく基盤をつくることを目的としている。これは、看護を専門的に学ぶための基礎ともなり、地域や他の職種と協働して活動する際に、ものの見方や考え方を理解する基盤となっている。また、人々の背景にあるさまざまな価値観に目を向け、変化する現象の多様性に気づくことを重視している。これらの学びを通して、学生は他の学問領域の知見を看護に応用する能力や、協働で活動する際に、創造的な働きかけや、人々との調整機能力の習得に繋がるものとなることを期待している。専門基礎科目は「人体の構造と機能I・II」、「疾病・治療論」から始まり、人の身体をマクロからミクロまで学ぶことができる。専門科目は、看護学の原点である「看護学概論」から始まり、さらに看護の基礎技術を学び、1年生の終わりには、看護援助論実習で患者と援助的関係をどのように築いていくのか、講義や演習で学習した知識と技術を携えて、病院の実践の場で実習を行う。

カリキュラム実習風景

カリキュラム実習風景

 2年生では、看護職のグローバルな活動を視野に入れ、国際的なコミュニケーション能力の強化に取り組んでいることから、「臨床国際コミュニケーションI」が配置されている。本科目は、看護臨床英会話の内容をnative speakerを講師に迎えて学ぶ。さらに、系統別の「疾病・治療論」や「臨床発達心理学」など疾病の成り立ちと回復の促進および「健康科学」・「疫学」・「社会保障制度論」などの健康と社会といった専門基礎科目が並んでいる。専門科目は看護の基礎、生涯発達と看護の講義・演習があり、看護学実習は生活援助の実践能力の修得をめざして行う。

  3年生では、看護師および保健師の国家試験受験資格取得に必要な科目が大半を占めている。特定の健康問題、発達段階,生活や療養の場に対応する看護実践能力や、保健医療福祉チームにおける協働・連携能力の修得に必要な科目群の講義・演習・実習が行われる。本学では看護研究に3年生から取組んでいる。看護の疑問や課題をどのように探求していくのか、小グループ編成で学習を行う。

カリキュラム実習風景

カリキュラム実習風景

 最終年度である4年生では、終末期ケアやコミュニティの健康を支援する看護・保健活動の実習を行う。看護を統合する能力をワンランク・アップするために、次に示す3つの教育プログラムを配置している。
  一つ目は「看護技術リファレンス」であり、看護を実践できる力のレベル・アップを図っている。2つ目は「看護統合実習:看護管理実習」であり、看護管理の基礎的な実践力を学習する。3つ目は看護研究とタイアップした「看護統合実習」であり、病院・地域などのフィールドで看護の実践的課題に取り組み、看護の創造と探求する力を育むことを目指している。また、3年生、4年生の「看護研究I・II」で取り組んだ成果を共有するために看護研究発表会を開催している。
 これらの内容は、看護学部カリキュラムツリー(図1)として履修要項に示されている。また、本学のカリキュラムにおける特徴的な科目の取り組みを以下に述べる。

図1 看護学部のカリキュラムツリー
図1 看護学部のカリキュラムツリー

医薬看連携地域参加型学習

 本科目は、平成20年(2008)度に本学独自に導入した医療系学部連携早期体験学習カリキュラムの学生グループ研究に端を発し、平成21年(2009)には文部科学省による「大学教育・学生支援推進事業」 大学教育推進プログラム(テーマA)に「事業名:医療系学部連携チームによる地域参加型学習(副題:地域社会に開かれた医療系学士課程教育の構築、3年間)」に採択され、活動の範囲を地域に向かって展開することとなった。また、平成25年(2013)には文部科学省による「未来医療研究人材養成拠点形成事業(テーマB)」に名古屋市立大学が代表となり名古屋学院大学、名古屋工業大学と共同で「事業名:地域と育む未来医療人『なごやかモデル(5年間)』」に採択され、いくつかの新たな事業展開を経た後、令和2年(2020)現在は「医薬看連携地域参加型学習」として(1)初年次導入教育としての課題解決型学習能力の習得、(2)将来のチーム医療の基礎となるチームワーク能力の育成、(3)医療人としてのプロフェッショナリズムの基盤形成を学習目標として継続されている。この目標に向かって、毎年3学部の1学年約240名が27チームに分かれ、基本医療技能実習、医療体験学習を行った後に、医療保健福祉施設、学校、学区連絡協議会、地域振興会などの地域コミュニティ機関、山間・離島などを担当し、地域や施設のニーズの発見と「学生なればこそできる」課題の解決に取り組んでいる1)

看護演習

 本科目は、健康問題、発達段階、生活や療養の場による看護の特性を学生が理解しやすいように6領域の教員が合同で行う演習である。これにより学生は看護過程の展開という一連の看護学習を系統立てて学ぶことができる。課題が順序立てられ学生は学習計画を立てやすくなり、さらに1科目あたりの教員数が多くなったことにより20人以下の少人数教育を実現した。演習の目的は、「特定の健康問題,発達段階,生活や療養の場に応じた看護実践方法の修得を目的とする。対象の特徴に応じた看護理論を理解し、個別性を踏まえた看護過程の展開ができること」にある。学生からは,自身のスキルアップとなる実感があると評価されている。一方、教員においても他領域の演習事例、用いる理論・モデルなどを知る機会となり、自身の領域の特性をより分かりやすく学生に伝える機会となっている。

看護技術リファレンス

 看護職を目指す学生が、卒業時に一定レベルの看護技術を修得できることを目的として4年次に設置された科目である。看護学部で独自に作成した「看護技術実践ノート」を用いて、看護技術の修得レベルを学生自身が振り返り、修得を促すとともに、4年間で修得すべき技術項目を完遂できるように、教員組織の枠組みを超え、准教授・講師・助教の全員で取り組んでいる。一方、看護学実習において学生が体験できる看護技術は減少傾向にあり、卒業時の看護技術レベルを維持することが困難な状況にあることを踏まえ、4年間の看護技術項目を再編し、平成28年(2016)度より「苦痛症状の緩和ケア」「認知症の人へのケア」「一次救命処置」「外国籍クライエントへの支援」をテーマとしたより統合的な演習を組み入れた。臨場感のある状況設定の中で看護ケアを実施するシミュレーション形式の演習により看護実践能力を高めるとともに、グローバル社会において対話を通して多様性を尊重できる看護職の育成を目指している。

名古屋市立大学看護実践教育共同センター

 看護学部と名古屋市立大学病院看護部がユニフィケーション事業として、平成25年(2013)7月に名古屋市立大学看護実践教育モデル検討委員会を立ち上げた。このモデル構築の目的は、大学と病院が協働し、理論と実践の融合を図り、エビデンスに基づいた質の高い臨床看護実践ができる人材、および地域住民の健康支援に貢献できる人材を輩出することである。「卒業時の臨床看護実践能力の質の向上を図る」「大学教育から現任教育へ継続教育の発展に繋げる」「臨床上の問題を科学的に探究する」「地域住民の健康を促進する」を目標として事業を進め、平成30年(2018)4月、名古屋市立大学看護実践教育共同センター設置へと至った。
 学部生の看護実践能力の質の向上に関しては、1年次から3年次に開講されている学内の看護技術演習に病棟の看護主任が演習指導者として参加し、教員とともに学生指導にあたっている。年間で延べ44名の演習指導者が学生指導に参加することで、学生にとって看護技術を適用する場面が具体的に思い描けるようになり、対象の状況を考慮して看護技術を実践するコツを教示され、動機づけが高まっている。演習指導者には、学部教育に参加することで教育的視点を得て、効果的な実習指導や新人指導に反映されることも期待されている。
 大学教育と現任教育の継続に関しては、病院看護部の研修に看護学部の教員が参加したり、講演したりする形式で行われている。新人看護師に対するフォローアップ研修、臨地実習指導者研修、人材育成等で実施している。
 地域住民の健康を促進する目的で開催している「さくらやま知っとこ!セミナー」については、後述する。

1)土井愛美,明石惠子,山口知香枝,他:「地域と育む未来医療人『なごやかモデル』」活動報告(2)-名古屋市緑区鳴子地域における「医薬看連携地域参加型学習」-.名古屋市立大学看護学部紀要,17,67-70,2018