学部・研究科・附属病院の歴史

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附属病院

附属病院の現在

高度医療

手術室・内視鏡室拡張

 平成29年(2017)4月から手術室が3室増設され、うち2室は、手術中のX線撮影が可能な装置を備える「ハイブリッド手術室」と内視鏡による手術映像が4Kの鮮明なモニターで確認できる「4K内視鏡手術室」として整備された。当院の手術室は計16室になり、高度な手術を実施する体制が充実し、高度急性期病院としての機能の強化が図られた。

手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)による低侵襲手術

 当院では、高度な低侵襲手術をより正確に行うことを可能にする手術支援ロボット(da Vinci ダ・ヴィンチ)の運用を平成23年(2011)5月に開始し、平成30年(2018)1月に最新機種 da Vinci Xiに機器更新を行った。これまでに、泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科、産科婦人科、小児泌尿器科の領域でロボット支援手術を行っている。また、今後のロボット支援手術の保険診療、先進医療などの拡充に備え、平成31年(2019)4月には、ロボット支援手術に関する低侵襲手術センターを設置した。より多くの患者さんへの治療提供のため、令和2年8月に2台目のda Vinci Xiの運用を開始した。

ハイブリッド手術室(TAVI)

 平成31年(2019)4月より、大動脈弁狭窄症に対し経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ):Transcatheter Aortic Valve Implantation)を開始した。TAVIとは、重症大動脈弁狭窄症に対してカテーテルを用いて人工弁を留置する治療法である。従来、重症大動脈弁狭窄症に対する治療は胸を開いて外科的に大動脈弁を取り換えてくる手術(外科的大動脈弁置換術)しか方法がなかったが、TAVIは重症大動脈弁狭窄症に対する新たな治療法で、患者さんに対する負担が低く、外科手術と同じ効果の得られる画期的な技術革新である。平成14年(2002)から世界で臨床応用が始まり、最近日本でも保険適用になった。当院でも平成29年(2017)4月にカテーテルと手術が同時にできるハイブリッド手術室の整備が整い、その後の準備期間を経て、TAVI実施施設としての認可を受け治療を開始した。

先進医療(白斑、泌尿器)

 平成29年(2017)6月、MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法について、中部地域で初めて先進医療の実施医療機関として、市立大学病院が認められた。
 再生医療のひとつである自家培養表皮移植について、重症熱傷だけではなく、尋常性白斑や改善が困難な瘢痕などに対しても有効であると考え、国公立大学病院としては初めて、平成29年(2017)7月より尋常性白斑などに対するメラノサイトを含む自家培養表皮移植を開始した

 

救急・災害医療

DMATチーム

 市立大学病院は平成23年(2011)3月にDMAT指定医療機関に登録されており、大規模災害や多数の傷病者が発生する事故などの現場に向かい、災害急性期(約48時間以内)に活動する専門的な訓練を受けた医療チームであるDMAT隊を配置している。
  DMAT隊を政府主催の大規模地震時医療活動訓練等に派遣し、日々訓練に励んでいる。

災害時の取り組み

 市立大学病院は平成19年(2007)3月に災害拠点病院の指定を受けており、この地域が大災害に見舞われた際には多数の被災傷病者の受入れに対応する役割を担っている。
  現在の病院施設は耐震構造となっており、自家発電装置や災害時用井戸の整備、医薬品・診療材料の備蓄をしており、大災害の際にも高度な救命救急医療を提供できる機能を備えている。

救命救急センター

 救命救急センターでは、救急科を中心に全診療科協力体制で大学病院として重症患者に高度かつ先進的な急性期医療を提供している。一方で「断らない救急」を掲げ地域医療を支えるとともに災害医療にも力を注いでいる。
 日本有数の規模となる「救急・災害医療センター(仮称)」の令和7年度開設をめざし,名古屋市の救急・災害医療の中核を担うべく強い使命感を持って取り組んでいる。

がん診療

がん診療・包括ケアセンター / がんゲノム医療

 当院におけるがんの集学的治療を可能とする提供体制の確立、がん医療の質の向上及び充実を目的に令和元年(2019)5月29日、同院中央部門に新たにがん診療・包括ケアセンターが開設された。また、同日、同センターに同じ中央部門の下部組織として「がんゲノム医療部」、「緩和ケアセンター」、「臨床腫瘍部」、「がん医療支援部」が開設された。特にゲノム医療の分野では、平成30年(2018)4月1日付で国からがんゲノム医療連携病院の指定を受けるとともに、令和元年(2019)6月から保険診療に加えられたがん遺伝子パネル検査を積極的に提供している。他にも東棟2階にがん包括ケア支援室を設置し、医療だけでなく患者さんが安心して治療に臨んでいただけるサポート体制を充実した。

喜谷記念がん治療センター

 社会の高齢化に伴い年々増加するがん患者さんに対し、高度な診断やさまざまな先端治療を併用する「集学的な治療」を行い、今後の医療の発展に寄与するため、平成24年(2012)5月に喜谷記念がん治療センターを開院した。
 当センターの整備に当たっては、大腸がんの代表的な治療薬であるオキサリプラチンの開発者で名古屋市立大学元薬学部長であられた故喜谷喜徳名誉教授がその特許料等を原資として設立された喜谷記念トラストより多大な支援をいただいた。故喜谷先生はじめ関係者の皆様のご厚意に感謝の意を表するため、「喜谷記念がん治療センター」と命名した。
  1階には高精度放射線治療が可能なトモセラピーと機能画像を取得できるMRIを備え、2階は患者さんのための快適な治療環境を考慮した化学療法室と緩和ケア診察室が設置されている。あわせて、がん薬剤師外来やがん栄養相談など、患者さんとの二人三脚の治療を進める拠点としての役割を果たしている。

周産期医療

 当部門は平成27年(2015)にMFICU6床・NICU12床・GCU15床を整備し、総合周産期母子医療センターの指定を受けた。以後365日・24時間体制でハイリスク母体・新生児を受け入れ、集学的治療を要する合併症妊娠・切迫早産・胎児異常に対し、高度な周産期医療を提供してきた。
  平成30年(2018)12月には無痛分娩センターを開設し、国内で初めて「無痛分娩」をセンター名に冠した大学病院分娩部門となった。名市大における硬膜外分娩(いわゆる無痛分娩)の特徴は、産婦人科医・助産看護スタッフ・小児科医・麻酔科医の「チーム医療」により、安全かつ効果的な鎮痛を提供していることにある。特に、市中の小規模分娩施設では管理が困難な合併症妊娠の硬膜外分娩を得意としている。開設当初の硬膜外分娩は月に数例のみだったが、開設後1年を過ぎた現在は月間10例程度となり、今後も需要の増加が予想されている。

地域連携(地域医療連携センター・患者サポートセンター)

 地域医療連携センターは入・退院支援、相談支援、かかりつけ医相談と病診連携を担っている。患者の利便性向上のため、病診連携を除く、入・退院支援、相談支援、かかりつけ医相談からなる「患者サポートセンター」を平成28年(2016)6月27日に開設し、入院から退院後の療養生活に必要な相談をワンストップで提供している。入院支援では入院生活の説明・薬の確認・情報収集と病床管理を担当し、退院支援では各種療養相談を含む転院や訪問診療・看護、施設との調整を行っている。相談支援では、患者の抱える経済的・心理的・社会的な問題に対し援助を行い、社会復帰の促進を図り、かかりつけ医相談では、地域の医療機関で対応できる当院外来患者の転医支援を行っている。また、紹介患者の予約、連携医療機関との調整を行い、診療連携を推進している。

医療の質の向上

患者アメニティの向上

 少しでも快適な入院生活を過ごしていただけるよう、平成27年(2015)4月から病衣のレンタルを開始した。令和元年(2019)5月には17階特別室ご入院患者さん向けにコンシェルジュを配置し、日々の生活のサポートを行っている。また、病院を利用される方向けに、地域の皆様にもご協力いただいて年に2回程度コンサートの開催や、その他医療に関するセミナー(患者情報ライブラリーセミナー、看護の日等)、小児科入院中のお子様向けのイベントも頻繁に開催している。季節に合わせた病院食の提供等、少しでも患者さんの不安を取り除けるようご意見箱や患者相談室にて患者さんの声を収集し日々改善に努めている。


病院機能評価認定

 平成20年(2008)より、病院の組織全体の運営管理および提供される医療についての第三者評価である病院機能評価を受審している。
  平成30年(2018)12月7日には、「機能種別 一般病院3」3rdG:Ver.2.0の認定を受けている。この審査内容での認定としては、東海地方で第1号、全国でも2番目であった。
 当院では病院機能評価取得後も継続して改善活動を推進し、病院体制の一層の充実や医療の質の向上に努めている。

医療人の育成

臨床シミュレーションセンター

 臨床シミュレーションセンターは、周産期・新生児・救急医療におけるチーム医療・医療安全の向上を目指して、平成23年(2011)に愛知県地域医療再生計画に基づき設置され、年間1万人を超える利用者がある。
  学内はもとより学外からの医師、看護師、薬剤師、学生などを対象に、シミュレーターを利用した研修の場を提供している。


総合研修センター

 当院では毎年30名以上の初期研修医を受け入れ、患者を助ける“知識と技術”と人を思う“心”を兼ね備えた医師の育成に努めている。東部および西部医療センターと連携し、救急医療、内科・外科などしっかりした基本領域研修を基盤に、特色ある高度医療技術習得を目標とする。また、有機的に連携した医師・看護師・技術系職員教育を行い、次世代の医療・医学を支えうる医療人育成を目指している。