学部・研究科・附属病院の歴史

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経済学部・経済学研究科

経済学部・経済学研究科の現在

現在を支える人たち―教員紹介

 ここでは、名古屋市立大学経済学部・経済学研究科の現在を支える人たち、とりわけ教員に焦点を当てて、紹介します。

1. 経済学部長・経済学研究科長

 現在の経済学部長・経済学研究科長は、吉田和生教授です。経済学研究科長が経済学部長を兼務しています。吉田教授の専門分野は会計学であり、名古屋市立大学経済学部および経済学研究科の卒業生でもあります。第28代経済学部長として平成30年(2018)度以来、運営に尽力しています。
現学部長からのメッセージは、本サイトの冒頭部をご覧ください。

2. 経済学部・経済学研究科の教員

 大学院重点化を経た現在、すべての教員は大学院経済学研究科に所属しており、経済学部教員を兼務しています。
 2020年度開始時点で、経済学研究科には35人の教員がいます。うち経済学専攻が18人、経営学専攻が17人です。経済学専攻には、「経済理論系」5人、「経済政策I系」4人、「経済政策Ⅱ系」5人、「制度・歴史系」4人がいます。また、経営学専攻には、「経営系」7人、「会計系」3人、「ファイナンス・情報系」7人がいます。
 こうした「系」という教員の緩やかな区分けにより、授業や公開講座などの巡回的実施、入試対応や集団的教育指導などの協力的プロジェクトの遂行、学部・大学院の運営や将来計画策定に向けた議論がなされています。
 一方、経済学部の運営に関しては、教員は3学科に担当が分かれます。現在、公共政策学科に13人、マネジメントシステム学科に12人、会計ファイナンス学科に10人がいます。各学科のディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーに沿った特色ある教育に取り組んでいます。

経済学教員一覧

経済学教員一覧


経済学教員一覧

経営学教員一覧

大学院経済学専攻 https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/teachers/g_members1
大学院経営学専攻 https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/teachers/g_members2
経済学部 https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/teachers/f_members1

3. 教員ピックアップー学部情報ネットワーク委員長の河合勝彦教授

 令和2年(2020)度は、新型コロナ感染症の全国的拡大のなかで始まりました。本学では3月末に新年度の授業開始は4月22日からと決められ、これまでに経験のない非対面授業(遠隔授業)の実施となりました。この状況で、経済学部のICTを支え、授業準備を牽引したのが「学部情報ネットワーク委員会」を中心とする教員・構成員でした。委員長の河合勝彦教授にお話を聞きました(令和2年(2020)5月22日最終収録)。


支援室で遠隔サポートするSEのKさん
支援室で遠隔サポートするSEのKさん

――非対面授業の実施に向けて、まず考えて動いたことは何ですか。

 経済eラーニングのサーバを絶対にダウンさせてはいけない、というのがまず頭に浮かびました。サーバ室(3号館情報処理機器室)でeラーニング用サーバの管理をされているのは、SEさんです。無停電装置のバッテリー、ディスク容量、セキュリティアップデートの状態等、重要な機器の状態の再確認を3月末にSEさんに依頼しました。
 こうした機器に不具合があれば、ワーニングの電子メールがSEさんの携帯に飛ぶ仕組みになっていますから、SEさんたちは実質24時間、サーバを監視しています。わたしもオンラインの講義(課題研究)が始まってから、サーバが過負荷(大人数のアクセス)で落ちやしないかととても心配で、夜中に何度も目を覚ましました。
 eラーニングのようなオンラインの仕組みを使ってもらうためには、利用のハードルをできるだけ下げることが大切です。どうせ数ヶ月経ったら必要なくなるものに、こんなに時間をかけて慣れる必要はない、と思われてしまったらオンラインの利用は普及しません。そこで一番大切なのは、最初に述べたようにサーバを絶対に落としていけないということです(世界最大のオンラインサービスとなったFacebookの黎明期を描写した、映画『ソーシャル・ネットワーク』をぜひ視聴してみてください)。ユーザの信頼を失ったら、その情報システムは廃れ、使われなくなってしまいます。

支援室で遠隔サポートするSEのKさん
支援室で遠隔サポートするSEのKさん



――大変と思いますが、心がけていることは何ですか。

 相手の言葉や表情を見て対応を変える、つまり臨機応変に行動することでしょうか。情報ネットワークのサポートは、我々委員会とSEさんとの共同作業ですが、学生や教員からの質問や意見に対して、「できません」と即答することだけは絶対にやめようと示し合わせています。


――やりがいは何になりますか。

 まず自分自身がこういった仕事が好きなのでしょうね(笑)。組織内部に対しては、我々のサポートがなくても自動で動いている(でも本当は陰で運用支援している)という空気のような存在でいたいのですが、組織外部(他大学等)に対しては、あそこはすごいね、頑張っているねと認識されたい、つまり対抗意識というか自負心がありますね。
 わたしが好きなIT業界(オープンソースデータベース、MySQL開発の元責任者)の人物で、「わたしのDNAはコピーできても、わたしと同一の人間には絶対になれない」という名言を残した方がいます。機器の設備やサポート業務としてやっていることは同じでも、あの大学(学部)のサービスが残している結果はすごいね、と言われる仕事をしたいです。


――1972年計算センター、1999年情報センターといった伝統があります。

 赤本にも書かれていますよね。わたしもその長い伝統に憧れて、他大学から本学に移ってきました。なお現在は、総合情報センターが経済の一部屋(現在の情報処理機器室)から独立し、立派に全学の基幹ネットワークを管理・運用しています。


――これまで私も随分SEさんやヘルプデスクに助けられてきました。

 とても献身的に動いてくれていると思います。日中の不具合はすぐに報告されるので、わたしは部局LAN管理者として、早朝や深夜に経済のネットワークの状態を監視することが多いのですが、いままで何度も早朝や深夜にSEさんに連絡を取ったことがあります。寝ぼけ眼でリモートアクセスしてもらい、サーバを復旧させたことも数度あります。本当にSEさんには頭が上がりません。


経済eラーニングシステムの入口
経済eラーニングシステムの入口

――経済eラーニング(Moodle)の導入と運営についてお聞きしたいです。

 経済eラーニングは、平成22年(2010)に運用を開始しました。当初、本格的なeラーニングサーバの運用は考えておらず、講義資料の配付を主な目的として始めました。しかし、使っているソフトウェアがとても良いもの(Moodle)で、これは学生の課題提出にも使えるぞ、オンラインで小テストも行うことができるな、と教員が気づいたことで、フルスケールのeラーニングシステムとして運用するようになりました。百人近い学生とリアルタイムチャット(質疑応答)を使いこなしている先生もいますし、外部動画(YouTube等にアップロードした自分の講義)を組み込んで教材を作成されている方もいます。

経済eラーニングシステムの入口
経済eラーニングシステムの入口



――経済eラーニングは学部独自に運営されていますが、今回、私も初めて使ってみて、とても有効な教育・学習ツールであることがわかりました。

 ありがとうございます。何度も繰り返すようですが、利用開始のハードルを下げる、ということが一番重要ですね。経済eラーニングサイトへ誘導するウェブページには、委員会とSEさんとで作成した、eラーニングの簡易ガイドやオンラインで利用申請ができるフォームへのリンクが張られています。学生用のサポート掲示板もあります。気軽にサイトを訪問して、経済eラーニングが活用されていることを確認してもらいたいと思います。
 それと忘れてはならなのが、歴代FD委員会のみなさんが経済eラーニングの活用にとても協力的だったことが、ここまで普及した大きな要因だと思います。数年前から、教員用のコピー機(スキャン機能)と連動して数百人規模のマークシートテストやアンケートをMoodleに読み込むことが可能になり、多くの教員に活用してもらっています。これは当時FD委員長だったY先生が強く先導して実現したものです。
 正直なところ、eラーニング利用の啓蒙活動については、当初の熱も冷めてきて、少し小休止状態です。しかし心機一転、今回のような社会的な危機に対応できるように、もっと学部内に、そして可能ならば大学全体に普及させていきたいと考えています。


Zoom会議で打合せ(Zoomバーチャル背景は@kaiizukaさん作成のもの)
Zoom会議で打合せ
(Zoomバーチャル背景は@kaiizukaさん作成のもの)

――Zoomの割り振りや教員・学生に向けた案内も迅速に構築してくださり、助かりました。

 我々も頑張った甲斐があります。実際のところ、サポート側の人間(情報ネットワーク委員、SE)も最初は初心者です。3月中旬から現在まで、走りながら考えてきたというのが本音です。これは契約書に書かれたSEの業務ではないという反発も当初ありました。しかし、この緊急事態においては、情報ネットワークサポート業務の大切な一部だ、というリーダーのSEさんの言葉で、一致団結、情報委員会とSEの混成チームとして、サポート体制を固めることができたと思います。

Zoom会議で打合せ(Zoomバーチャル背景は@kaiizukaさん作成のもの)
Zoom会議で打合せ
(Zoomバーチャル背景は@kaiizukaさん作成のもの)



――情報教育がますます重視されています。

 経済学部・経済学研究科は、昔からデータ分析の教育に力を入れていますし、研究でも優れた業績を残している教員がたくさんいます。その一方、少し軽視されがちなのが、電子計算機(コンピュータ)につながれている情報ネットワークそのものの活用です。インターネットにつながれていないコンピュータを使いたいと思う人は、セキュリティ関連のためにやむなくそうしている人たちを除いて、まったくいないと思います。ネットワークにつながれると、コンピュータの利便性は格段に向上します。いわゆるネットワーク外部性ですよね。研究も学習も、人と人がつながってこそ、新しい成果が生まれると信じています。
 わたしの教育方針は、この情報ネットワークの力を活用して、本学部から巣立っていく学生達がビジネスの世界で大活躍して欲しいというものです。電子計算機という言葉が示すように、統計データやビッグデータを分析する力がとても優れているコンピュータですが、楽天やAmazonという企業名を出す必要もないほど、オンラインの世界はビジネスの慣習や仕組みを激変させています。
 新型コロナウイルス禍はまだ終息していません(令和2年(2020)5月現在)。これから数ヶ月(数年間の可能性もあり)、我々はウィズコロナの社会で生きていかなくてはいけません。経済が回らないから、自粛を解除せよという意見が出るのも当然ですが、情報ネットワークを活用して、経済を回す仕組みについても、よく考えていく必要があると思います。

(インタビュアー:編纂委員・藤田菜々子)