名古屋市立大学の歴史

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第Ⅳ章 名古屋市立大学の発展

3. 経済学部の発展

(1)経営学科の設置

 経済学部は、その開設当初より、経済学科のみを擁する学部として運営されてきたが、平成3年(1991)4月、経営学科が増設された。経営学科については、学部開設の時から、経営学・会計学分野を中心とした教員たちによって、その設置が要望されていた。しかし、経済学部全体の賛同を得ることができず、経営学科の増設はなかなか実現しなかったが、平成3年になって、ようやく設置が実現した。これにより、経済学部は経済学科と経営学科の2学科制となり、入学定員は経済学科が140名、経営学科が60名の計200名となった。これ以降、経済学部は16年間にわたって2学科体制で運営されていった。

(2)研究体制の発展

 昭和39年の経済学部の設置と同時に、名古屋市立大学経済学会(以下、経済学会)が設立された。経済学会は、経済学・経営学および関連諸学科の発展に寄与することを目的にした学会であり、本学経済学部の関係者が中心になって組織された。昭和40年9月には、機関誌『オイコノミカ』の発行が開始され、以降、『オイコノミカ』は経済学会の機関誌として経済学・経営学の発展に寄与している。
 平成8年(1996)4月、経済学部の附属研究所として、経済研究所が創設された。経済研究所の設立経緯については、70周年特設サイト「経済学部・経済学研究科」の第1部・第3章および経済学部・大学院経済学研究科オリジナルサイトに詳しいので、そちらを参照していただき、ここではその経緯を簡略に述べることにする。
 経済学部が新設された昭和39年度、大学附属の研究所として「産業科学研究所」構想が企画された。ところが、「産業科学研究所」は全学部を対象としたもので、経済学部の研究目的と必ずしも合致せず、また構想の具体化も停滞していた。こうした理由もあり、1970年代になると、経済学部独自の研究所として「都市問題研究所」が企画された。しかし、この構想は、名古屋市の「名古屋都市センター」構想との関係で保留となり、実現に至ることはなかった。その後、「経済学部附属研究所(仮称)」構想が企画され、平成8年4月、ついに経済研究所が開設されたのである。経済研究所は、国際的視野から経営・経済問題を探求することを目的に、毎年3件程度のプロジェクトを推進し、その成果は、機関誌『国際地域経済研究』(年刊)や公開シンポジウムを通して発信されている。

(3)学科の再編

 経済学部は経済学科と経営学科の2学科体制で運営されたが、平成19年(2007)4月、「公共政策学科」「マネジメントシステム学科」「会計ファイナンス学科」の3学科に改編された。学生の入学定員は公共政策学科90名、マネジメントシステム学科80名、会計ファイナンス学科60名となり、従前の計200名から計230名に増員された。「公共政策学科」では、経済学、経済政策を中心に学修し、国や地方自治体の政策を評価して、今後の政策のあり方を考察する。これによって、国や地方自治体で政策立案を担える、あるいは企業で経営企画を担える人材を育成する学科である。「マネジメントシステム学科」では、様々な組織のマネジメントの仕組みについて経営学および制度・歴史の二つの視座から学修する。これによって、企業の経営を深く理解し、制度・歴史に精通した人材を育成する学科である。「会計ファイナンス学科」では、会計やファイナンスの専門知識について学修して企業の活動をその資金の面から考察する。これによって、会計・ファイナンスの専門家や企業の経理・財務部門を担当することができる人材を育成する学科である。

経済学部の講義の様子
経済学部の講義の様子

(4)大学院経済学研究科の再編

 平成14年(2002)、全国的な「大学院重点化(大学院部局化)」の進展の中で、経済学研究科は部局化され、それまで経済学部所属であった教員たちは、経済学研究科の所属となり、経済学部の教育を兼任するかたちになった。また、「大学院重点化(大学院部局化)」の進展にともない、大学院経済学研究科の再編が行なわれた。平成17年(2005)、経済学研究科の専攻が「日本経済・経営専攻」と「経済政策分析専攻」の2専攻体制に再編され、これにともなって入学定員も博士前期課程が40名に、博士後期課程が10名に増員された。さらに、平成20年(2008)には「経済学専攻」と「経営学専攻」に再編された。「経済学専攻」は、経済学の立場からさまざまな経済問題を理論的・政策的に分析することを目的とし、経済理論系、経済政策Ⅰ系、経済政策Ⅱ系、制度・歴史系の4つの系について研究・教育を行なう。「経営学専攻」は、経営学と会計ファイナンスの関連性を重視して企業活動の諸問題を解決することを目的とし、経営系、会計系、ファイナンス・情報系の3つの系について研究・教育を行なうとした。
 また、同28年(2016)、博士前期課程に、医療関係者を対象に経済学・経営学に関する高度専門的教育を行なう「医療経済マネジメントコース」が新設され、令和2年(2020)には、企業・団体の経営者を対象に経営・経済の制度および歴史に関する高度専門的教育を行なう「経営者コース」が新設されて現在に至っている。
 なお、経済学研究科においては、社会人特別選抜制度、昼夜開講制、長期履修制度が定着し、名古屋市立大学大学院のすべての研究科で実施されているTA制度、RA(博士課程研究遂行協力)制度、学術論文投稿支援制度、国際学会参加旅費支援制度などの諸制度が発展、定着して、学生にとってより学びやすい環境が定着した。

参考資料
70年史特設サイト「経済学部・経済学研究科」
経済学部・大学院経済学研究科オリジナルサイト(https://www.econ.nagoya-cu.ac.jp/