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2024年 第1期「妊娠・出産と麻酔の最前線」


最新医学講座 オープンカレッジ 2024年 第1期のご案内
  • [開講日時] 令和6年5月17日(金)~令和6年7月5日(金) 毎週金曜日18:30~20:00 
  • [応募受付期間] 令和6年4月8日(月)~令和6年4月26日(金)
  • [選考結果] 令和6年5月8日(水)
  • [コーディネーター]名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学 教授 田中 基
 本講義では、産科医療、特に産科麻酔についての理解を深めます。産科麻酔とは、不妊治療(採卵)麻酔に始まり、流産処置の麻酔、妊娠中の手術麻酔、胎児治療の麻酔、出産の麻酔(硬膜外分娩(いわゆる無痛分娩)、帝王切開の麻酔、産科救急、産科集中治療など、妊娠前から出産後まで、妊娠に関連するあらゆる麻酔科医療を網羅します。
 受講生は、麻酔の基礎知識に始まり、産科医療・産科麻酔の実際を学び、未来の産科麻酔を展望します。
本講義は、出産を考えておられる方はもちろん、一般的な手術を受ける方の参考にもなります。産科医療に詳しい方も、麻酔と通して新しい視点が得られるでしょう。老若男女、どなたでも受講を歓迎します。

●第1回 5月17日 (金)

麻酔概論 ー麻酔とは?ー

名古屋市立大学病院 麻酔科・無痛分娩センター 教授 田中 基
「麻酔科医」とは、どのような職種かご存知でしょうか?手術室の手術麻酔に始まった麻酔科医の業務は拡大し、集中治療・救急医療・ペインクリニック・検査室の麻酔・産科病棟などに広がっています。最近ではそれぞれの分野を専門とする麻酔科医も登場しています。
さて、「麻酔をかける」という言葉は「魔法をかける」を連想させますが、実際はどのような医療行為なのでしょうか?本講義では、全身麻酔、下半身麻酔(脊髄幹麻酔)、区域麻酔(末梢神経ブロック)、局所浸潤麻酔について解説します。

●第2回 5月24日 (金)

生殖医療における麻酔方法の実際

名古屋市立大学医学部附属西部医療センター生殖医療センター・産婦人科 松本 洋介
急速に少子化が進む現代において、なかなか妊娠できない「不妊症」、妊娠しても流産を繰り返してしまう「不育症」の治療を行うことは非常に重要です。2022年4月からは不妊症治療の人工授精と体外受精が保険適用となり、不妊治療を行う患者さんの数もますます増加しています。体外受精では、採卵という腟から針を刺して卵子を回収する手術が必要です。また、妊娠した後に残念ながら流産となってしまった場合、子宮内容除去術が必要となることがあります。本講義では不妊症、不育症の概要と、治療に必要な上記手術やその際に行われる麻酔について解説します。

●第3回 5月31日 (金)

妊娠・分娩概論 ー自然分娩とはなにか?ー

名古屋市立大学看護学研究科性生殖看護学・助産学 教授  尾崎 康彦
“おめでとうございます!”の喜びと不安の中で、“安全・安心で快適なお産”を目指して十月十日の旅がスタートします。そしてセーフティランディングを目指して、いよいよ分娩が始まります。お産の安全神話に守られながら、赤ちゃんはどのようにして産まれて来るのでしょうか?

●第4回6月7日 (金)

異常分娩 -帝王切開術、吸引・鉗子分娩のお話―

名古屋市立大学大学院医学研究科産科婦人科学・臨床遺伝医療部 講師 後藤 志信
お産は安産であることが一番の願いですが、妊娠・分娩の経過によってさまざまな医療介入が必要になることがあります。異常分娩の多くは事前に予想することが難しく、妊婦さん毎にそれぞれ異なる分娩の進行具合と、お腹の中の赤ちゃんの状態を産科医・助産師がその都度判断しながら安全な分娩をサポートしています。経腟分娩を順調に進行させるための3つの要素について、また異常分娩とはどのようなものか、近年増加傾向にある帝王切開術についてなど、これからご本人/ご家族が妊娠出産を迎える方、既に出産を終えた方、その他全ての皆さまにわかりやすくお話させていただく予定です。

●第5回6月14日 (金)

経腟分娩の麻酔 ーいわゆる無痛分娩ー

名古屋市立大学病院 麻酔科・無痛分娩センター 教授 田中 基
近年、麻酔を使った経腟分娩を選択される産婦さんが増えています。経腟分娩の麻酔には「硬膜外麻酔」という下半身麻酔(脊髄幹麻酔)を用いることが多いため、名古屋市立大学病院では「硬膜外分娩」と呼んでいます。一般には「無痛分娩」と呼ばれることが多いのですが、本当に「無痛」なのでしょうか?本講義では、硬膜外分娩の「真実」について知ることができます。
講義内では、硬膜外分娩の利点・欠点、硬膜外分娩の実際、産婦さんが硬膜外分娩を受ける際に知っておきたい注意事項を解説します。

●第6回6月21日 (金)

帝王切開の麻酔 ー満足度の高い麻酔を目指してー

名古屋市立大学病院 麻酔科・無痛分娩センター 講師 上村 友二
帝王切開を受ける産婦さんは増加傾向にあります。本講義では、帝王切開の流れと麻酔方法を麻酔科医の視点で解説します。また帝王切開を受ける産婦さんにとって、疼痛は最も重要な関心事の一つです。強い疼痛が継続すると身体機能の回復の遅れや産後うつのリスクを上昇させ、育児にも悪影響を与える可能性があります。近年では、早期回復を目指した鎮痛戦略やオンデマンド鎮痛など新たなアプローチが試みられており、そのあたりも触れたいと思います。

●第7回 6月28日 (金)

①硬膜外分娩開始までの経緯の紹介 ‐揺れ動く助産師のこころ‐
②安全な硬膜外分娩の実施に向けた薬剤師による取り組み

①名古屋市立大学病院 看護部 若林 加菜子 ②名古屋市立大学病院 薬剤部 加藤 順子
①話題の硬膜外分娩。欧米では分娩といえば硬膜外分娩です。日本では痛みを乗り越えて一人前という風習が少なからずあります。もちろん自然分娩のすばらしさも多くあり、寄り添ってきた助産師。硬膜外センター開設準備から記念すべき第一号、そして3年が経過した揺れ動く助産師のこころをお伝えします。
②薬剤師は薬剤適正使用を促す重要な役割を担っており、有効かつ安全な硬膜外分娩の提供に重要な役割を果たすことができます。名市大病院で硬膜外分娩を新たに開始するにあたり取り組んだ、薬剤の供給体制の整備と適正使用のための医療スタッフへの情報提供について報告します。

●第8回 7月5日 (金)

未来の産科麻酔

名古屋市立大学病院 麻酔科・無痛分娩センター 教授 田中 基
産科医療を取り巻く環境は急速に高度化しています。その理由として、近年の社会構造の変化による妊婦の高齢化、かつては妊娠が許可されなかったようなハイリスク妊娠の増加などが挙げられます。
更に、2017年には硬膜外分娩の関連する医療事故報道が相次ぎ、産婦さんが安全な産科麻酔を受けられ環境が求められる事態となりました。今後は、妊産婦さんの安全を守り、痛みの少ない産科麻酔を実現するため、われわれ麻酔科医をはじめ医療スタッフができることは何でしょうか?わが国の産科医療・そして産科麻酔が目指す「その先」を模索しましょう。