グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  人間文化研究所 >  イベント開催報告 >  マンデーサロン開催報告 >  マンデーサロン開催報告 2023新任教員着任講演会

マンデーサロン開催報告 2023新任教員着任講演会


2回に渡り、新任教員着任講演会を開催いたしました。
マンデーサロンとしては久しぶりに対面形式で行いました(オンライン配信も併用のハイブリッド開催)。
今回も講師の各先生方に発表内容をご報告いただきました。

<第1回>
2023年6月26日(月) 16:30~18:00 

●佐渡忠洋先生「失敗ケースからみる臨床心理学史」

カウンセリングや心理療法といった心の援助が常に成功しているとは限らない…、
これは、援助職の領域においてあまり口にされない一面である。しかし別の面をみると、臨床心理学の歴史においては失敗したケースから新たな知見や見方が得られており、それが後に検討するに足る仮説へと至っている、という事実もある。
今回はこの両面を同等に扱うために、F.A.メスメルとJ.-M.シャルコーの症例を短く紹介した。そして、今日われわれが行う失敗と同型のものが、臨床心理学の最初期の有名な治療例にも認められることを明示した。
そして、個別の治療例と心理療法の歴史を包括した臨床心理学史の描出の意義を論じた。
 

佐渡先生マンデーサロン  

佐渡先生マンデーサロン 会場のようす

<第2回>
2023年7月24日(月) 16:30~18:00 

●石川優先生「ポピュラー文化における物語の想像力=創造力:二次創作という文化実践を事例として」

本講演では、二次創作の一種である「やおい」を事例として、現代日本における物語文化の一端について話題提供をおこなった。ここでいう「やおい」とは、女性を主な担い手とする、仲間やライバルといった男性同士の絆に恋愛要素を読み込む二次創作を指す。
「やおい」はボーイズラブ(BL)という女性向けジャンルの流れを汲みつつ、同人(自主制作)を中心として「草の根」で展開されてきたという経緯をもつ。講演では「やおい」の創作技法と物語内容に定型性があること、その定型性が先行研究ではしばしば批判されてきたことに言及しながらも、「やおい」は定型的であるからこそ「誰でも物語をつくれる」という創作技術の民主性を拓いてきた側面があると結論づけた。
 
 

石川先生マンデーサロン

石川先生マンデーサロン 会場のようす

 
●松村智史先生「社会保障における子ども政策の動向と課題」

報告者がこれまで取り組んできた、子どもを中心とした社会政策や社会福祉などの研究の概要について報告を行った。
特に、近年、広がっている生活困窮世帯の学習支援について、教科指導だけでなく、コミュニケーションや居場所の提供といった「ケア」の側面に着目して捉え直す、「学習支援によるケア」という概念に基づき、「誰かに気にかけてもらう感覚」などの学習支援の双方向の作用などが、生活困窮世帯の子どものウェルビーイングにプラスの効果をもたらす可能性や、学習支援のあり方の課題などを論じた。
 
 

松村先生マンデーサロン

松村先生マンデーサロン 会場のようす