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見る・聞く・知る 名市大


経済学研究科


経済学研究科

理系出身から、門戸を叩いたのは経済学。

国立大学大学院を修了後、大手自動車部品メーカーでロボットや電気自動車のインバーター冷却器、スマートグリッドなど、最前線の事業開発を牽引してきました。理系出身として設計や開発に携わる一方で、営業や工場づくりなど事業化の現場にも関わり、技術と経営の両面から挑戦を重ねてきました。分野の垣根を越えた経験の積み重ねが現在の自分を形づくっていると感じます。

現在は、ビジネス開発室で参事として新規事業開発に取り組んでいます。若手社員とともに新しい事業を立ち上げるなかで、実践を通じて事業化のプロセスを体得してもらうことが今の私にとって大切な役割です。

そうした実務経験を理論的に裏づけたいという思いから、再び大学院の門を叩きました。現在は経済学の視点からイノベーションを研究しています。指導教員の河合篤男先生は、米国3M社の新規事業開発を研究されているイノベーション論の第一人者です。その研究に強く共感したことが名市大を選んだ理由でもあります。

社会に出てからこそ、大学で学ぶ意味がある。

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本業の傍ら、「Tokai Innovation Institute(TII)」(注)に所属し、大学の技術シーズを企業のニーズと結びつけるプロジェクト支援を行っています。

実際に企業の現場に入り、「これまで機械系の事業しか手がけてこなかったが、今後は電動化に挑戦したい」といった相談を受け、現業の技術をどう活かして新たな事業を立ち上げるかを一緒に考えています。

中小企業では、新規事業に割ける人材や資金が限られており、立ち上げに苦労する場面も少なくありません。
しかし、制約があるからこそ既存の技術や他社の強みを組み合わせ、スピーディに事業化へとつなげる動きが生まれる。むしろ「制約こそが創意工夫を生むのではないか」──そんな仮説を立て、研究室と現場の両輪で検証を続けています。

河合篤男先生は、3M社の「15%カルチャー(勤務時間の15%を自由に新しいアイデア創出に使ってよい)」など、制約の中で創造性を高める仕組みを理論的に探究されています。先生のご指導のもと、私もリソースが限られた中で成果を上げた企業の事例を調査し、その成功要因を整理・理論化する研究に取り組んでいます。

(注)「株式会社Tokai Innovation Institute」(TII)は、国立大学法人東海国立大学機構の出資子会社です。産学連携の機能を強化するため、民間企業との共同・委託研究を行い、その成果の実用化を進めることを目指しています。

真夜中の海をさまよう、その先へ。

博士後期課程の研究では、過去の事例を整理し、起きた事実を分析することが基本です。指導教員が立てた仮説を「本当にそうなのか」「他の説明はないのか」と検証し、自分なりの実践を通じて理解を深めていきます。

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一方で、自分の進む方向が見えなくなることもしばしばあります。

博士前期課程までは授業や明確な指導がありますが、博士後期課程では自らテーマを掘り下げ、手探りで進むしかありません。「真夜中の海を泳いでいるよう」と表現されることもあるように、研究の方向性を見失うことも多いです。

河合篤男先生は「こっち」と答えを示すのではなく、「この角度から見たらどう」とヒントをくださる。そのやりとりを重ねる中で、自ら考え抜く力が養われていくのだと思います。
社会人大学院生の場合は、仕事との両立も大きなテーマです。通学のペースは人それぞれで、半年や1年休学して研究を進める人もいます。私自身も実務と並行しながら、自分のペースでじっくり学びを深めています。

博士後期課程を修了した後は、これまでの経験を活かし、経営コンサルタントとして新規事業や大学発ベンチャーの支援に携わりたいと考えています。実務と研究をつなぐ役割を果たし、理論を社会に還元することが目標です。

受験生への応援メッセージ

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経済学研究科 博士後期課程3年

企業などに就職したからといって、学びが終わるわけではありません。社会に出てからも経済や経営、マーケティングなど新しい知識を学ぶことで、仕事の幅は大きく広がります。私自身、理系出身として研究開発に携わってきましたが、事業を動かすには経済の視点が欠かせないと感じて再び大学で学び直しました。

大学では異業種の社会人や研究者と世代を超えて意見を交わし、新たな視点を得ることができます。自分の経験を共有することで気づく学びもあります。

学びは年齢や立場に関係なく続いていくもの。ぜひ大学という場を通して、自分の可能性を広げてみてください。