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人文社会学部ESDの取り組みに関するFD研修の報告(2)


担当者 曽我幸代:人間文化研究科(心理教育学科)、准教授、(専門分野)ESD
 前期に実施したFD(Faculty Development:教員研修)では、基礎科目と専門科目とのつながりを考えるために、基礎科目のふり返りを試みました。後期では、個々の教員が改めてESDを言語化して自分事化することを目的に、FDの場を設けました。今回も、対話型ワークショップを実施するために、一般社団法人ひらけエデュケーション(http://hirake-edu.com/)に協力をお願いしました。
日時: 2020年12月22日(火)午後3時から4時半まで
場所: 1号館2階201教室、(グループワーク202,205,207教室)
参加者: 人文社会学部教員26名(参加率58%)
目的: ESDを自分事化する、専門教育とのつながりを意識する
内容: 15:00-15:08 趣旨説明(FD担当:曽我幸代)@201
移動
15:10-15:55 ESD・FDワークショップ(45分)
 ファシリテーター:一般社団法人ひらけエデュケーション(服部剛典・若杉逸平)
 7グループ(一班3~4名)に分かれる @202/205/207
 ※チェックイン(10分):前回の感想・コメントの共有(前回からのつながりの有無)
 ※ESD理解の共有(ESDって何?自分の言葉でいいかえよう)(35分)
移動
16:00-16:15 全体共有 @201
16:15-16:25 個人ワーク:専門科目とESDのつながりとは?
16:25-16:30 山本研究科長からの挨拶
 冒頭で曽我より、現行カリキュラムが次年度完成年度を迎えるため、今後を考える場とすること、また改めてそれぞれがESDをどのように捉えているのかを言語化し、共有する場とすること、そのうえで課題となっている専門科目とのつながりを意識化していく旨が述べられました。その後、くじ引きに従ったグループに分かれ、話し合いを進めました。グループワークでは、それぞれが考える「ESDとは?」、担当授業ではどのようなことを伝えてようとしているのか、また今後に向けての課題が共有されました。卒業論文および修士論文提出前であったこともあり、参加率は前回に比べて悪かったものの、本学部教員の半数以上が参加しました。なお、今回もコロナ禍により、ワークショップでは、他者との距離を保つこと、また換気をすること、密になることを避けることを徹底し、分室で行いました。
 本学部ではESDを「自然や他者との関わりを通して地球社会および人間存在を問うとともに、私たち一人ひとりの『持続可能な生き方/あり方』を捉え直す教育」として捉え、教員それぞれが個々の学問的背景をもとに、ESD基礎科目での授業を担当しています。現行のカリキュラムが実施される前には、科目ごとで教員が集まり、授業イメージの共有をしましたが、3年の間にあった教員の進退により、科目自体の理解がなされていないことが問題として浮き彫りになりました。そこで、今期のFDでは、教員間の考えの共有を改めて図ることにしました。FDを通して、教員それぞれがESDを捉え、授業をしていることがわかります。ワークショップで出された教員らの言葉をもとにその特徴が読み取れます。
ESDは「○○である」という確固とした定義はありません。それは、「国連ESDの10年」で出されたUNESCOの文書にもあるように、持続可能な開発自体が「多くの特徴と解釈をもつダイナミックで進化する概念である」(UNESCO 2016:9)ため、ESDも「持続可能性の概念がもつ進化する特徴」(UNESCO 2005:31)をもっているとされています。各々の考えを共有することで本学部がもっている「持続可能な開発」および「ESD」の姿が形作られていきます。同時に授業を通して見えてくる課題もありました。たとえば、学んだことを行動に移すことが求められるESDにおいて、いかに「学生が自主性を持ち、自ら活動をする」ように「背中をおすことができるのか」や、3学科の教員が混合の科目であるが、「自分の学科の先生が担当されている科目をうけがち」になっていること、また「3年次用のESD科目が3学科共通であってもよいのでは」ということがあげられました。オムニバス科目であるため「前後の授業のつながりがはたしてうまくいっているのか」、「教員間でのESDの共通認識はあるか」という疑問もあげられました。改めて「担当教員の専門、得意分野をもう一度再確認する方がよいのではないか」というカリキュラムの完成年度前に適した意見もありました。
 完成年度を迎える次年度において、再度科目ごとの教員でのふり返りと次期カリキュラムにむけての意見集約が必要であることがわかりました。本学部のESDの課題である「専門科目とのつながり」を意識するためにも、改めて基礎科目のふり返りの場をもち、個々の授業のつながりを改めて認識することや次年度以降の見通しを個々人が自分事として示せるようにしていくことが必要だと思いました。学習指導要領の改訂に伴い、今後入学してくる学生はSDGsを学習知として蓄えていることが前提になります。高校までの学習知が大学での専門知といかに結びつくのかを示すためにも、数年のうちに私たち大学教員はSDGsをはじめとする「持続可能な開発」について理解し、捉えていくことが求められていると思います。そのうえで、本学部のESD基礎科目は大学教員一人ひとりの学びの場となっていることがうかがえました。教員らの学びの場として、こうしたFDの機会を活用し、互いの授業への理解および次へのステップへとつなぐようにしていきたいと思います。企画実現に協力してくださったみなさま、ありがとうございました。
 最後になりましたが、今期もワークショップ実施のために一般社団法人ひらけエデュケーションに協力していただきました。ありがとうございました。

参考文献
・UNESCO (2005). UNDESD International Implementation Scheme. Paris: UNESCO.
・UNESCO (2006). Framework for the UNDESD International Implementation Scheme. Paris: UNESCO.