グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  活動・研究成果 >  SD入門・第5回ゲスト講義「藤前干潟の魅力と活動紹介~プラネタリーヘルスに向けて~」の報告

SD入門・第5回ゲスト講義「藤前干潟の魅力と活動紹介~プラネタリーヘルスに向けて~」の報告


人文社会学部では2026年度より、Sustainable Developmentの基礎的事項への理解を進めるため、必修の専門科目として「SD入門」(前期後半:1単位)を開講しています。
第5回では、ゲストとして岸晃大様(名古屋市環境局環境企画課湿地教育推進員)にお越しいただき、「藤前干潟の魅力と活動紹介~プラネタリーヘルスに向けて~」と題してお話いただきました。
授業冒頭に、本授業の主担当である馬渡から、プラネタリー・ヘルスについての概要を簡単に紹介しました。プラネタリー・ヘルスとは、「人類の健康は地球環境や生態系と切り離して語ることはできない」(國井修『プラネタリー・ヘルス入門』みすず書房 p.9)という考え方を指します。藤前干潟もまた多様な生物の宝庫でありますが、そのような生物多様性の保全が我々の健康とも関連し社会を支えていることを念頭に、今回のゲスト講義を企画しました。
岸様からは、自己紹介に続いて、「藤前干潟について」「ラムサール条約と湿地都市認証」「藤前干潟の課題」「藤前干潟の保全活動」の各項目に分けて、お話いただきました。
まず、藤前干潟とはどのような場所か、説明・紹介がありました。藤前干潟はシギ・チドリなどの渡り鳥や多様な底生生物にとって重要な干潟です。庄内川・新川・日光川の河口に位置する干潟であり、ごみ処分場確保に伴う藤前干潟埋立計画が断念された後、2002年にラムサール条約湿地に登録されました。2025年には名古屋市が、藤前干潟をはじめとした湿地保全の取り組みが認められ、ラムサール条約湿地都市に認証されるに至りました。同干潟には、野鳥やアナジャコ、トビハゼなど、様々な生物が干潟における多様な自然環境のもと生息しています。その生物多様性の恵みを多くの人々が干潟体験などを通して楽しんでいる写真が豊富に紹介されました。
続けて、ラムサール条約やラムサール条約湿地都市認証制度に関する基本的事項についての説明があり、ラムサール条約には「保全・再生」「交流・学習(CEPA)」「ワイズユース(賢明な利用)」の3つの柱があることが紹介されました。
次に、藤前干潟における喫緊の課題ということで、漂着ごみ、マイクロプラスチック、釣りごみなどのごみ問題が紹介されました。藤前干潟が、海に流れ込むごみを防ぐ最後の防波堤になっていることが示されました。
藤前干潟の保全活動としては、クリーン大作戦といった2,000人規模の一斉清掃活動や名古屋市の普及啓発活動、NPO法人藤前干潟を守る会の活動、さらに同団体のなかでも「藤前干潟ユース」の取り組みがあることが紹介されました。
最後に、藤前干潟の関わる流域全体でごみ問題を解決する流域思考の重要性、「ごみを出したらごみ拾い活動に参加する」などの「自分ニュートラル」の理念の重要性が語られました。
講義後、岸様と受講学生たちとの間でそれぞれの興味と観点から質疑応答が交わされました。また、「藤前干潟の認知度を高めるためにはどうすれば良いか」を軸に感想や意見を書いてもらいました。教員も含めた質疑応答のやりとりのなかでは、社会における自然環境保全に携わる仕事や活動の重要性が増していくなかで、その仕事や活動がより一層経済的に承認されていくにはどうすれば良いか等の論点にも話は及び、充実した議論の時間となりました。
今回の講義を通して、プラネタリー・ヘルスを考える際に、我々が住む地域社会に目を向けること、その地域社会を基盤としつつも、関連する自然環境(川・干潟・海など)の流域性を踏まえることの重要性が示されたように思います。また、普段名古屋市周辺で生活をしているものの、藤前干潟と縁の無かった学生たちには、本講義での様々な話が新鮮に聞こえたようでした。
今後も本授業では、藤前干潟や地域の自然環境の保全のあり方を学習しながら、プラネタリー・ヘルス向上への寄与に何が出来るか、考えていきたいと思います。(文責:馬渡玲欧(人文社会学部現代社会学科))

講義の様子

講義の様子