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人文社会学部現代社会学科・社会調査実習報告書『藤前干潟の維持と管理をめぐる現状と課題Ⅱ―釣りごみ問題に焦点を当てて―』の刊行


活動の概要 人文社会学部現代社会学科では、毎年、社会調査実習という授業を開講しています。各担当教員の指導のもと、中京圏の様々な社会問題の現状と課題について、主にフィールドワークやインタビュー調査を中心とした社会調査を行っています。2025年度の馬渡班は、昨年度に引き続き、名古屋港に位置する、ラムサール条約登録湿地である藤前干潟の維持と管理について調査を進めました。藤前干潟は、豊富かつ多様な生き物が生息し、国内有数の渡り鳥の飛来地として知られています。調査の成果について、この度、報告書『藤前干潟の維持と管理をめぐる現状と課題Ⅱ―釣りごみ問題に焦点を当てて―』を刊行しました。

【社会調査実習の内容】
調査においては、ラムサール条約湿地藤前干潟・稲永ビジターセンターへの訪問、藤前干潟の干潟体験活動への参加や周辺のフィールドワーク、およびセンターの運営を委託されているNPO法人・藤前干潟を守る会への複数回のインタビュー、釣り愛好家団体であるWATERSIDE CONTROLへのインタビュー、関連する文献や新聞記事の整理を行いました。
今年度の調査では、藤前干潟の保全活動における「釣りごみ問題」に着目しました。藤前干潟(特に稲永ビジターセンター側)では、新型コロナ拡大以降、野外で楽しめるレジャーとして釣りに注目が集まり、初心者が増加、安価な釣り用品の普及も相まって釣りごみ問題が発生しました。様々な対策が取られるなか、ラムサール条約登録湿地としていかに「ワイズユース(賢明な利用)」を行うか、課題となっていると言えます。
調査報告書では、釣りごみ問題は単なるマナーの問題にとどまらず、干潟の「保全」と「利用」をめぐる多様な主体の関係や葛藤を映し出す問題であることを記述しました。また、釣り愛好家らによるごみ清掃活動を通じて、立場の異なる主体(干潟の保全や維持管理を目的とする人々、釣りを楽しむ人々、地域住民など)が対話・協働する可能性も確認されました。
これらの知見を踏まえ、藤前干潟をいかにコモンズとして捉えることができるかについても考察しました。特に藤前干潟の保全や維持・管理の活動は、多様なアクターと関わりながら、ラムサール条約登録やラムサール条約湿地都市認証を通じて、コモンズ管理の正統性を確立する段階にあるように思われます。今後は、他のラムサール条約登録湿地との比較を通じて、湿地の持続的な維持・管理のあり方をさらに検討していきたいと思います。
最後に、本社会調査実習にご協力いただいたみなさまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
活動の時期 2025年4月から2026年4月まで
担当教員 馬渡玲欧(人文社会学部現代社会学科准教授/SDGsセンター所員)
関連URL 名古屋市立大学人文社会学部現代社会学科
東海社会学会社会調査インターカレッジ発表会

2025年度社会調査実習報告書(馬渡班)表紙

2025年度社会調査実習報告書(馬渡班)表紙