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ギャンブル行動症をもつ人のリカバリーに、大切な人の支援が関連


(ギャンブル行動症をもつ人170名の調査)
日本精神保健看護学会誌、2026年6月30日公開(日本時間)

研究成果の概要

名古屋市立大学大学院看護学研究科の加藤崇洋助教と香月富士日教授は、ギャンブル問題で支援機関につながる20~65歳の170名を対象に、リカバリー(注1)に関連する要因を調べました。
分析の結果、「大切な人からの支援を感じること」がリカバリー得点と最も強く関連し、友人からの支援を感じること、抑うつ状態ではないこと、支援開始からの期間が長いことも関連しました。本成果は、本人が重要と考える人からの支援を実感できる対人関係や環境に着目する必要性を示唆します。

研究のポイント

  • 支援機関につながる170名を対象に、リカバリーの関連要因を数量的に分析。
  • 大切な人からの支援が最も強く関連(β=0.44)。友人からの支援(β=0.20)も関連。
  • 抑うつ状態ではないこと(β=-0.24)と、支援開始からの期間が長いこと(β=0.13)も関連。

背景

ギャンブル行動症(注2)は、ギャンブルを制御できず、借金、家庭不和、抑うつなどを招く精神疾患です。認知行動療法や自助グループの効果が示されていますが、従来の研究ではギャンブルの回数やとらわれなどのギャンブルのコントロールのしにくさが評価されてきました。一方、リカバリーは、症状の有無だけでなく、希望や人生の意味を持ちながら自分らしく生活する過程を重視します。ギャンブル行動症をもつ人のリカバリーに関わる要因を数量的に検討した研究は限られていました。

研究の成果

2023年12月~2024年7月に、医療機関、公的機関、民間団体、当事者団体につながる493名へ質問紙調査を依頼し、基準を満たす170名の回答を分析しました。リカバリーは日本語版リカバリーアセスメントスケール(RAS)で評価しました。
重回帰分析の結果、大切な人からの支援(β=0.44)、抑うつ状態(β=-0.24)、友人からの支援(β=0.20)、支援開始から現在までの期間(β=0.13)の4項目が、リカバリー得点と有意に関連しました。このうち大切な人からの支援が最も強く関連し、統計モデルはリカバリー得点約48%を説明しました(調整済み決定係数=0.48)。
「大切な人」には、家族や配偶者に限らず、当事者仲間、友人、恋人、職場の人など、本人が重要と考える相手が含まれます。

図1

研究の意義と今後の展開や社会的意義など

本研究では、小児期の逆境体験は最終的な統計モデルには選択されず、現在感じている大切な人・友人からの支援、抑うつ状態、支援開始からの期間が、リカバリー得点と関連しました。
この結果から、精神科看護師や支援者がリカバリーを支援する際には、本人が「誰からどのような支援を受けていると感じているか」を把握し、本人が重要と考える人との関係づくりや、相談・感情表出への支援、抑うつ状態への対応を検討する視点が重要であると考えられます。
今後は、大切な人や友人からの支援実感に関連する要因を明らかにし、リカバリーを支える支援モデルの構築と検証を進めます。なお、本研究は横断調査であり、有意抽出により支援機関につながる人を対象とし、その96.5%が男性でした。そのため、因果関係の判断や、支援機関につながっていない人、女性を含むすべての当事者への一般化には注意が必要です。

用語解説

(注1)リカバリー
ギャンブルの問題を抱えながらも、人生に希望を持ち、人生の意味や目的を見出し,生活を営む過程。本研究では日本語版リカバリーアセスメントスケール(RAS)の得点で評価しました。
(注2)ギャンブル行動症
持続的・反復的なギャンブル行動により、生活上の機能障害や苦痛が生じる精神疾患。本研究では、支援機関につながりスクリーニングテストで陽性である20~65歳の人を対象とし、医学的診断を受けていない人も含みます。

論文情報等

【研究助成】
該当なし

【論文タイトル】
ギャンブル行動症をもつ人のリカバリーに関連する要因の探索的研究

【著者】
加藤 崇洋1、香月 富士日1
1 名古屋市立大学大学院看護学研究科

【掲載学術誌】
日本精神保健看護学会誌 35巻1号、1~10頁(2026年)
DOI番号:10.20719/japmhn.35.25-025