学部・研究科セミナー「eIF3g は mRNA 上の GUCG ボックスを認識し、軽度の熱ストレス応答遺伝子の翻訳を促進する」(2026年7月16日)
第178回「eIF3g は mRNA 上の GUCG ボックスを認識し、軽度の熱ストレス応答遺伝子の翻訳を促進する」
| 講師 | 浅野 桂(カンザス州立大学 生物学科 教授/広島大学 大学院統合生命科学研究科 特任教授) |
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| 日時 | 2026年7月16日(木)16:30〜17:30 |
| 場所 | 名古屋市立大学滝子キャンパス 2号館3階 アクティブラーニング教室 |
| 概要 | 細胞内では、 DNA の情報をもとにmRNAが作られ、その情報を使ってタンパク質が合成される。この過程の中で、mRNA からタンパク質を作り始める「翻訳開始」は、タンパク質産生量を決める重要な調節ポイントである。特にがん細胞では、この翻訳開始の制御が乱れていることが知られている。 私たちの研究室では、翻訳開始を担う巨大な分子複合体である MFC (Translation Initiation Multifactor Complex)の機能を研究している。MFC は複数の翻訳開始因子から構成され、その中心的な構成要素の一つが eIF3 である。eIF3 はリボソームを mRNA へ呼び寄せ、どの mRNA を効率よく翻訳するかを選択する役割を持っている。 研究の結果、 eIF3 を構成する因子の一つである eIF3g が、 mRNA 上の特定の短い配列「GUCG ボックス」を直接認識することを発見した。また、eIF3g と結合する eIF3i と協力することで、軽度の熱ストレスを受けた細胞において、特定の遺伝子の翻訳を選択的に促進することが判明した。まず、SELEX 法という解析によって、eIF3g が特に結合しやすい「GUCG」を中心とした配列を同定した。さらに、酵母を用いたリボソームプロファイリング解析により、mRNA のタンパク質をコードする領域の開始付近に GUCG 配列を持つ遺伝子では、eIF3g/eIF3i の働きによってリボソームが多く集まり、翻訳が活発になることを確認した。 また、人工的なレポーター遺伝子を用いた実験から、この GUCG 配列を含む領域だけで熱ストレスによる翻訳促進が起こることが示された。さらに、 GUCG 配列を変異させると eIF3g との結合が弱まり、翻訳促進効果も低下した。 以上の結果から、GUCG ボックスは eIF3g が認識する機能的な RNA 配列であり、細胞が熱ストレスなどの環境変化に適応するための翻訳制御スイッチとして働くことが明らかになった。本研究は、細胞が状況に応じて必要なタンパク質だけを効率よく作る仕組みの理解につながる成果である。 |
| 連絡先 | 田上 英明 |
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| 備考 |
