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蝶ヶ岳ボランティア診療班


蝶ヶ岳ボランティア診療班のご案内

北アルプス蝶ヶ岳山系は標高2,600~2,800mの山域で、松本市、上高地からのアプローチも短いために、中高年者の入山者が増加し、患者数も増えています。同山系では過去11年間に高山病による死亡2名をはじめ、年間3例程度のヘリコプター出動要請を行っている状況です。

1998年8月1 開設時の記念写真

山頂から最も近い医師の常在する場所へは徒歩で5時間を要します。夏期シーズン中だけでも山小屋に医師が常在することは、登山者の健康管理に多大な貢献をすることになると思われます。

自然を愛好し、かつ登山者の安全確保に関心を持ってくださる皆様のボランティア精神によって、山岳診療所を開設することになりました。

蝶ヶ岳ボランティア診療班学生レポート
活動15周年を迎えた診療班の代表M3 石田 真一さんにききました

蝶ヶ岳ボランティア診療班の学生代表の医学部3年の石田真一と申します。
蝶ヶ岳は、北アルプスにある標高2677mの山です。中部山岳国立公園内にあり、山全体が長野県に属しています。西側に梓川を挟み、穂高連峰や槍ヶ岳といった日本有数の山々を眺めることができる絶好の眺望台となっており、毎年多くの登山者が訪れます。
私達診療班は、毎年7月中旬から8月下旬までの約40日の間、蝶ヶ岳山頂にあるヒュッテの診療所で活動しています。学生は4、5人で班を構成し、開所期間中は4泊でローテーションを組み常時山頂に滞在しています。本診療所は無料診療であり、開所期間中には毎年約150人の患者さんが来られます。診療所に来られる患者さんの多くは、急性高山病、外傷です。しかし、時には重症の患者さんが来られることもあり、多いときでは1日に10人以上の患者さんが来られます。

今年の壮行会の様子。
教職員、学生だけでなく、OB・OGも毎年参加します。

また、予防的介入の一環として、夜にはヒュッテの食堂をお借りして雲上セミナーを行い、高山病についての知識の普及をし、登山者の方へ高山病予防を促しています。他にも、高山病についてのポスターを掲示し呼びかけを行ったりして、まず診療所の存在を知ってもらうとともに、登山者の方が来診しやすい環境を作れるよう心がけています。
さらに、疫学調査として、「登山中における尿中ケトン体と疲労感の関係」についての調査を毎年行っています。
本診療班は、医師、看護師をはじめとする、多くのスタッフの方々のご協力、ご参加をいただいており、学外からも多くのスタッフの方々にご参加していただいています。今年で15周年を迎えることになりますが、今後とも蝶ヶ岳ボランティア診療班をよろしくお願いいたします。

運営委員長にインタビュー

1997年の開設から10年目の節目の年に、松本警察署から表彰を受けました。設立時を知る運営委員長の三浦裕准教授(分子神経生物学)にうかがいました。

Q. 主な活動内容は?

A.
蝶ヶ岳ボランティア診療所は中部山岳国立公園の蝶ヶ岳山頂(標高2677m)の大展望を臨む場所に位置し、今年は160名を越 す患者さんが訪れました。状況によっては、我々診療班も点滴や酸素ボンベを担いで遭難現場に急行して救助活動をし、診療室では、付きっきりで看病します。登山客のために学生が中心となって血圧、酸素飽和度測定を実施し、深呼吸法や水分摂取法の指導 など安全登山の啓蒙と自然保護活動をしています。

Q. 10年を振り返って。また、続けてきた理由は?

A.
微々たる10年です。10年前に見た"キヌガサソウ"は、同じ場所に同じ時期に同じように美しく咲いています。しかし、関係した人間の顔を見ると、確実に成熟・老化した変化を感じます。続いたのは、元本学教授太田先生の心からの支援、苦楽を分かち合った教員・学生の笑顔、患者さんからの感謝の言葉・・・それらに支えられ、変わらぬ自然の美しさに今も新鮮な感動を覚えるからでしょう。

Q. 学生スタッフの様子は?また、今後の目標は?

A.
学生には、今時の若者は・・・という苦言とは無縁の、心から自然を愛し、活動を通じ社会貢献しようという誠実さを感じます。今後とも、人間界を超越する大自然をそのまま受入れ、このまま参加者の主体性・公共性・無報酬性を貫いていきたいと考えています。

蝶ヶ岳ボランティア診療班