名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

SDGs活動紹介

人文社会学部ESDの取り組みに関するFD研修の報告

4.質の高い教育をみんなに 17.パートナーシップで目標を達成しよう
担当者 曽我幸代:人間文化研究科(心理教育学科)、准教授、(専門分野)ESD

本学部がESDを軸にした教育活動を始めて、今年で7年経ちます。ESD科目を導入したカリキュラムを改訂して、現行のカリキュラムでは、学部に所属する教員すべてがESD科目に従事しています。基礎科目は「グローバル経済と環境保全」、「都市開発と自然との共生」、「多文化共生」、「自文化理解」、「人の移動とグローバルシティズンシップ」、「マイノリティとの共生」の6科目から成り、3学科それぞれの教員が学科の垣根を越えて、自らの専門性に引きつけ1人数回の授業を受け持ちます。

今年で3年目を迎えたため、今年度前期のFD(Faculty Development:教員研修)では、前半のESD基礎科目のふり返りとともに今後についての検討をすることにねらいを置きました。そのため、従来の研究授業ではなく、教員が参加し対話するワークショップの手法を採用しました。対話型ワークショップの実施には、それを得意とする一般社団法人ひらけエデュケーションに委託し、協力を得ました。

日時:

2020年6月30日(火)15:00-16:30

場所:

ワークショップは滝子キャンパス1号館3階301、309、310教室で開催。

全体共有は、2階201教室で開催。

参加者:

人文社会学部教員41名(参加率91%)

目的:

  • 人社におけるESDのこれからを考える
  • 今期カリキュラム下において実施したESD基礎科目の2年間(前期科目は3年目)をふり返り、特徴と課題を改めて認識する
  • 専門教育とのつながりを意識すること
  • 専門教育でのESDの展開を検討すること

内容:

15:00-15:05

趣旨説明(久保田健市副研究科長)

15:05-15:15

「FDワークショップ:ESD基礎科目のふり返りとこれから」(FD担当:曽我幸代)

15:15-16:10

ESD・FDワークショップ

  • 8グループ(一班4~5名)に分かれ、基礎科目に関係なく、学科混合で309、310教室にて実施(ファシリテーター:一般社団法人ひらけエデュケーション)。
  • 曽我からのインプットをもとにこれまでをふり返る→個々人でワークシートに記入→グループになって、意見交換を行いました。専門教育での展開の可能性を考えました。
  • 2グループ(新人教員、および、臨床心理コース)は301教室で研修を行いました。

16:10-16:25

全体共有(201教室)
ファシリテーター:一般社団法人ひらけエデュケーション

16:25-16:30

閉めの挨拶(山本明代研究科長)

ワークショップの冒頭では、ESD基礎科目のコーディネーターを担当する曽我から、ESD基礎科目についての共通認識を図るため、10分間のレクチャーがありました。本学部1年生の必修授業である「ESD入門」(全7回)で説明しているESDについての概説、およびESD基礎科目に関する概要、本学部におけるESDの今後の課題についてのインプットでした。その後、8グループと新人教員の研修に分かれ、8グループは基礎科目のふり返りと、今後について(専門教育科目とつながり)の意見共有を行いました。新人研修では、山本研究科長、久保田副研究長および曽我がESD基礎科目を担当する上での困りごとやわからないことなどの質疑応答を行いました。約1時間のワークショップのあとで、会場を移動し、全体で意見共有を行いました。なお、コロナ禍により、ワークショップでは、他者との距離を保つこと、また換気をすること、密になることを避けることを徹底し、分室で行いました。

FDを通して、参加者がそれぞれの授業内容や方法を伝え合い、互いの実践に関心をもつことができました。同じ科目内では共有している情報ですが、科目が違えば、「知らない」ことになっています。そうしたことへの気づき、またそれぞれの他者理解を通して、自らの実践を多角的にふり返ることができたようです。今回のFDの目的にもあげた専門科目とのつながりについては課題が残りますが、それぞれの教員が改めてESD基礎科目の意義を捉える機会にもなったことが上記の言葉からも読み取れました。

一方で、教員であるがゆえに、「教える」ことからの脱却も必要なように感じます。伝えたいこと、教えたいことがあふれる教員らの思いを少し抑えることが今後の課題であるように思いました。2回分という時間の制約のなかで、学生に何を伝えるのかを改めて考える必要がありそうです。そのうえで、2回では伝えきれないことと専門性との関連を考えることも、専門科目との接続に有効かもしれません。

ESD基礎科目を通して、学生は「知らなかった」世界、または他者の状況に出会います。ESD入門で耕し始めた土壌は、より多様な視点や視座からのアプローチによって、広くまたは深く掘り起こされます。私たちの身のまわりにあるさまざまな状況に目を向けること、当たり前だと思っていたことへの問いなおしを通して、多くの「気づき」があります。「わくわく」したり「もやもや」したり、ときには痛みやつらさを感じたり、どうしようもなく誰かに話したいと思ったりする人もいるかもしれません。こうした思いをきっかけに、もっと知りたいという知的好奇心を高めたり、「なぜだろう」という研究への動機づけとなったり、自らの関心事の奥行きを感じたりする場として、ESD基礎科目があるのだと改めて思いました。

教員らの対話の場として、こうしたFDの機会をもち、互いの授業への理解および次へのステップへとつなぐようにしていきたいと思います。

企画実現に協力してくださったみなさま、ありがとうございました。