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在学生の声

名市大で気づいたすべてのことが看護師としての成長につながっている。

実習のたびに成長する

看護師の母に憧れ、自分も看護師になりたいと思った庄司美咲さん。彼女は「すぐ隣の名古屋市立大学病院で実習ができるから」という理由で本学の看護学部に進んだ。

そんな庄司さんに対して、看護師の先輩でもある母親は「将来、病院に入職したら、最初は絶対に病棟で働きなさい」とアドバイスしたという。

庄司美咲さん

「患者さんに一番近い場所で、患者さんを見て感じること、考えることの大切さを私に伝えたかったのだと思います」。

そして庄司さんは、本学でさまざまな実習を経験するうちに、母のアドバイスの重要さを痛感している。

本学の看護学部では、看護学の専門科目だけでなく医学や心理学、疫学などの専門基礎科目まで幅広く学ぶ。さらに「看護学は実践の学問」という考えに基づき、4年間を通して病院や保健所、保育所、福祉施設などでさまざまな実習が行われる。

庄司さんの初めての実習は1年生の春休み。名古屋市立大学病院の内科病棟で行われた1週間の実習で、彼女は忘れられない経験をした。

庄司美咲さん

「担当した患者さんのことをよく知らなくてはと思い、私はあれこれと矢継ぎ早に質問しました」。

しかし彼女が次々と質問をするうち、徐々に患者さんの表情が曇り、受け答えが嬉しくなさそうになってきた。

「もしかしたら私が質問をし過ぎたことがプレッシャーになってしまったのかも知れません。そこで、次からは相づちをうち、その患者さんの話を傾聴することにしました。すると、その方はとても嬉しそうに自分から進んで私に話をしてくれるようになりました」。

続く2年生の実習は消化器外科で行われ、彼女は患者さんの個別性に配慮して行動するように心がけた。

「目が不自由な患者さんと一緒に散歩をしたのですが、周囲の様子を五感で感じてもらうために、『風の音がしますね!』『目の前に大きな木があるのが分かりますか?』と、その患者さんにも分かっていただけるような言葉を選んで話しかけるようにしました」。

こうして実習のたびに、彼女は少しずつ看護師として大切なことを学んできた。

実習でしか学べないことがある

庄司美咲さん

3年生になると実習の機会がさらに増え、さまざまな発達段階(年代)や健康レベル、看護の場における学習をローテートしながら経験を積み重ねていく。

「訪問看護ステーションや介護老人保健施設、精神科病院などで実習を経験しました。他にも、名古屋市立大学病院の周手術期病棟や小児科病棟、母性病棟、慢性期病棟などで実習を行う予定です」。

通常、こうした実習では、全員が体験したことや気づいたことなどを共有するために学内の演習室などで学生によるカンファレンス(会議)が行われる。

精神科病院では、患者さんにかける言葉の難しさが話題になった。

ある学生が、歩くことが好きな患者さんに『よく歩いておられますね』と何気なく声をかけたところ、その方が『自分は歩いてはいけないと注意された』と勘違いし、落ち込んでしまったという。

「そういう勘違いを防ぐためにはどのように声をかければ良いかをみんなで話し合いました。具体的な事例を通してさまざまな考え方に触れ、とても勉強になりました」。

庄司美咲さん

また、認知機能が低下した患者さんと接する場合、ある人は言葉だけで伝えれば大丈夫、ある人は絵で見せた方が分かりやすい、ある人は身振り手振りがないと分からないというケースがあることも、こうした実習を通して学んだことの一つ。

もちろん教室の中でも、患者さんをよく見てアセスメント(患者さんの情報を把握し、何が問題なのかを理解すること)を行う大切さを学ぶことはできる。しかし目の前の患者さんに対してどのように接するのが適切かは、実際に看護の現場で体験しながら自分で気づくのが学びの一番の近道なのだ。

「患者さんと接する実習は、本当に勉強になります」。

だから、実習のたびに、彼女は母親の「最初は絶対に病棟で働きなさい」というアドバイスの重要さを再認識する。

多くの気づきが、成長を促す

バスケ部の仲間たちと(前列左から2人目が庄司さん)

また授業や実習以外にも、彼女は本学で過ごす毎日の中で多くのことに気づき、それが看護師としての彼女の成長に活きているということが少なくない。たとえば、彼女がキャプテンを務めるバスケットボール部の活動もその一つだ。

「中学・高校と続けたバスケットボールでしたが、最初、大学でも続けようとは思いませんでした。でも本学の桜山キャンパスは看護学部と医学部の学生ばかり。せっかく名古屋市立大学に来たんですから、いろんな学部の、いろんな考え方の人と友達になりたくて、全キャンパスの学生が集まったバスケットボール部に入部しました」。

ここで多くの仲間と話すうちに、看護学部で当たり前に使う言葉なのに、他学部の学生にはまったく通じない言葉があることを知った。

「看護学部以外の学生に通じないということは、患者さんにも分からないということですから、『この言葉は別の言葉に換えよう』という気づきになります」。

庄司美咲さん

現在は看護師の資格のほかに、保健師の資格取得の勉強に忙しい毎日を送る庄司さん。3年になってからは、性生殖看護学・助産学分野の寺口ゼミに所属し、女性と子ども、家族の性と生殖に関わる健康の支援に関するテーマについて研究を進めており、大学院に進み、助産師の資格を取得することにも興味が湧いてきた。

「そして将来は、母のように、患者さんの一番近くにいて患者さんの気持ちに寄り添うことのできる看護師になりたい。そのためには、もっと看護の現場を経験し、さまざまな人と触れ合いながらコミュニケーション力を磨かなくてはと思っています」。

その意味で、授業はもちろん、実習やサークル活動まで、本学で体験するすべてが彼女にとって大切な勉強の時間なのだ。

プロフィール

庄司美咲さん
看護学部 看護学科 3年

「周囲のメンバーや先生から頼まれてキャプテンになった」という庄司さんの性格はとことんポジティブ。何を言われても落ち込まず、視野を広く持って前向きに考えるのが信条。バスケットの試合で仲間がミスをして落ち込んでいても「大丈夫! 次にがんばればいいよ」と声をかける。そんな庄司さんは、チームの誰かに注意をするときは「ここはダメだけど、あそこは良かったよ」と、悪いことを先に言って良いことを後に言う。実はこれ、2年生の基礎看護の授業の中で学んだ「最後に言われた言葉が相手に残る」というコミュニケーションのテクニックを部活動に応用したものだという。日常生活の中のさまざまな気づきを糧にして、彼女はこれからも成長し続ける。

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