名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

サイエンスカフェ

【開催報告1月20日】サイエンスカフェ 山中亮教授 「社会から認められない悲嘆:自死遺族に対する偏見を考える」

[2018年09月19日]
第83回 Human & Social サイエンスカフェ
日時:2018年1月20日(土)15:00~17:00
講師:山中亮教授(臨床心理学)
テーマ:「社会から認められない悲嘆:自死遺族に対する偏見を考える
  • 内容:
自殺で大切な人を亡くした方々は自殺による死別そのものの苦痛に加え、周囲から批判的な言動を向けられることによってさらなる心理的苦痛が生じることが指摘されています。我が国における、自死遺族の方々が置かれている現状を考えていきます。
  • 参加記:
冒頭に紹介されたのは、『「自殺」とは行為を表現し、多くの自殺は追い込まれた死として、プロセスで起きていることを理解し、「自殺した」ではなく「自殺で亡くなった」と表現する。遺族や遺児に関する表現は「自死」を使う。』というNPO法人全国自死遺族総合支援センターの提案だった。「自殺」という言葉が遺族や遺児にとっては、どれほど重い意味を持つものかと改めて考えさせられる。2017年には21000人を超える人が自殺で亡くなっている日本は、諸外国と比較すると自殺率が非常に高く、特に若年層の自殺は国際的に見ても深刻な状況にあるという。悲嘆カウンセラーとしての活動もされている山中教授は、残された自死遺族は、悲しむ権利や周囲からの共感やサポートを得る権利などが認められず、悲嘆が複雑になりやすいと述べられ、周囲は自死遺族に死の責任を求めるなど否定的な感情が強いという調査結果も示された。
自死遺族である知人のことを考えてみる。彼女に責任があるとは思わないが、子どもを喪った彼女にかける言葉もなく、関係が疎遠になったことは事実だ。セミナー受講後しばらくして、一緒に悲しむこともできたという思いに至った。周りの人間が、遠ざかる、関係を断つことでいっそう遺族を苦しめる場合もあるに違いない。
山中教授の今後の課題は、偏見形成のプロセスを解明し、効果的な偏見解消プログラムの開発とのこと。未来ある若者が多数自殺するような社会を作ったのは、私たち大人であることを強く自戒したい。
「市民学びの会」会員 重原惇子
20180120yamanaka.jpg

社会から認められない悲嘆~自死遺族に対する偏見を考える~会場の様子

pdf版の案内(会場への地図あり)(301.6 KB)