名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

サイエンスカフェ

【開催報告4月15日】サイエンスカフェ 市川哲准教授 ビーズがつなぐ異なる世界:マレーシアのビーズ細工と観光開発

[2017年03月04日]
第80回 Human & Social サイエンスカフェ
日時:2017年4月15日(土)15:00~17:00
講師:市川哲准教授(観光学)
テーマ:「ビーズがつなぐ異なる世界:マレーシアのビーズ細工と観光開発
内容:
東南アジアの多民族国家マレーシアには数多くの少数民族が居住し、ビーズ細工に代表されるカラフルかつエキゾチックな手工芸品を制作しています。先住民の伝統的な手工芸品はマレーシアの観光地における代表的な土産物として販売されています。今回はこれら伝統的でエキゾチックに見えるビーズ細工が、いかにして制作され、流通し、消費されているのかについて紹介します。
参加記:
「観光立国」という言葉を最近よく耳にする。2011年から2015年にかけて日本を訪れた外国人の数は年間33%も増えており、これは世界でも最速の成長率であるという。日本政府はこうしたいわゆる「インバウンド観光」が日本経済を成長させる強力な原動力になり得ると考え、年間の訪日外国人観光客を2015年の1,970万人から2020年には4,000万人にまで倍増させるという目標を立てているそうだ。
大学においても、立教大学が1998年にわが国で最初の「観光学部」を設立して以来、関連の学部、学科が近年続々と新設されてきている。ちょっとした「観光学部」ブームと言えるかもしれない。しかし「観光学」は果たして学問(デシプリン)として成り立つのか、また仮に成り立つとしてもその方法論は確立されているのだろうか。講師の市川准教授の専門は「観光人類学」ということらしいが、「観光という事象を人類学的アプローチから考察する」と言われてもいまいち明確なイメージが浮かばないなぁというのが今回サイエンスカフェを聴講するにあたって私が抱いていた素朴な疑問であった。おそらく講師の市川氏は、私のような予見を持った一般市民参加者が少なからずいることを予想されて、「そもそも観光とは何か」について概論的なイントロダクションを、私のような門外漢にも分かるように、かなり時間をかけて丁寧に手際よく話してくださったのはありがたかった。
今回の講演では、「外部世界からもたらされる観光が、地元の社会関係にいかなる影響を与えているのか、またそれと同時に地元社会が外部起源の観光をいかにして取り込んでいるのか」をテーマに、多民族国家インドネシアのサラワク州の観光資源となっている先住民の手工芸品(ビーズ)を題材に、氏自身の参与観察をもとに体験を交えて報告された。私の一生でビーズの話をこれほど詳しく聞いたことはなかったし、これからもないものと思われる。講師に感謝したい。
村井忠政(市民学びの会会員)

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