名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

サイエンスカフェ

【開催報告1月21日】サイエンスカフェ 別所良美教授 持続可能な社会とベーシック・インカム

[2016年12月15日]
第79回 Human & Social サイエンスカフェ
日時:2016年1月21日(土)15:00~17:00
講師:別所良美教授(ドイツ近代思想、社会哲学)
テーマ:「持続可能な社会とベーシック・インカム
  • 内容:持続可能な社会は国連の新しい開発目標にもなっているグローバルな課題です。これとセーフティーネットとしての無条件基本所得(ベーシック・インカムBI)との関係についてお話しします。
  • 参加記
科学技術の進歩とグローバルな経済活動によって、必然的に生み出されたとも言える環境問題が、のっぴきならない解決を迫られている今日。現代社会は「持続不可能」だという限界意識が大きく浮上している中で、どのようにしたら「持続可能な社会」をつくりあげることができるか。
まず第一に教育。学校教育のみならず、社会教育、職業教育など、広い意味での教育を「再方向付け」すること。
第二に、自然資本を、すべて交換価値に換算し、自然をどのように使うかを考えようとしない現状を改めること、すなわち、再生可能な自然資本をより多く生み出す努力の大切さ。
第三に、「技術の進歩」とは、常に多くの資源・エネルギーを消費することではない、と考え、資源効率性を高めるための、更なる技術革新を求める動き。例えば、クルマでは、電気自動車(EV)の普及、カーボン・ファイバーによる車体重量の軽量化等、考えられる余地は大きい。
最後に、「持続可能な社会」を実現するためには、ベーシック・インカム(無条件基本所得)制度が導入されること。これは、社会の成員すべてに対し、国家・共同体から無条件に、生活のための所得が支払われるシステムである。そうすれば、まず経済成長と雇用拡大が、社会の唯一の関心事ではなくなる。そして、所得は労働の対価でもなくなり、「労働と所得の分離」が起こる。これは「普遍的な社会的人権」である、という主張が、近年ドイツをはじめ、各国で広まってきている。しかし、これを実現するには、社会制度を根本的に変革せねばならない。私達、人間の価値観の変革である。「幸福とは何か」にもつながる哲学的課題である。
「持続可能な社会」や「ベーシック・インカム」という言葉、言葉としては承知していても、俎上に載せることなど考えもしなかった私には、まさに「目から鱗が落ちる」思いで拝聴しました。こういった社会を実現するために、私達が心がける一番大切なことは何であろうか? 「経済成長神話からの解放」、そんな言葉が頭に浮かびました。
寺岡信之(「市民学びの会」会員)

開催案内時のPDFファイル(676.7 KB)

  • 会場の様子

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