名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

サイエンスカフェ

【開催報告2015年2月14日】サイエンスカフェ第69回 「『老人語』の話」 成田徹男教授

[2015年01月13日]
第69回 2月14日(土)
テーマ:シリーズ「日本」を考える(5)
「『老人語』の話」
講師:成田徹男 教授 (日本語学)

日本語研究の豊かさと楽しさに改めて気づかされた有意義な講座であった。
「老人語」は、言語研究のカテゴリーである「役割語」のひとつとしてとらえられる。しかし、「老人語」には多くの意味やとらえ方がある。現在、役割語といわれている「老人語」は語り口以外にはあまり特徴がなく、語彙の面で貧弱だという。
成田教授は、「老人語」を広い概念でとらえ、現実の世代差としての「老人語」という面からだけではなく、話し手の頭の中にある役割語から考える「老人語」について話をされた。この点に本講座の大きな特徴がある。
「老人語」に関しては、遠藤織枝(1990)の老人語の特徴研究や金水敏(2003ほか)による役割語研究があるが、本講座では、日本語学研究の成田教授ならではの「じいじ語・ばあば語コスプレ」の提唱がなされた。言語というのは、伝達手段であると同時に、話し手の自己意識、自分らしさを形成するものである。自分が自分らしいことばや言い回しを使わなければ、いずれは滅びてしまう。それは自分が自分でなくなってしまうことを意味する。残すためには自分で使い続けるしかない。もっと自分たちの世代のことばを使おうということだ。
特に印象に残ったのは、いつかは変化を余儀なくされる言語であっても、自分が自分でいるために「変化にあらがう」ことの意義を示唆された点であった。

名古屋市立大学非常勤講師 山田陽子

成田先生

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