名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

マンデーサロン

【2018年6月26日開催報告】マンデーサロン 新任教員着任講演会(椎名渉子准教授、髙橋康史講師)

[2019年04月23日]
マンデーサロン
2018年6月26日(火) 18時~18時
新任教員着任講演会
椎名渉子「日本語の地域差・地域性―ことばの運用面に着目して」
髙橋康史「家族に犯罪者をもつということ―スティグマを鍵として」
  • 内容報告
椎名先生による「日本語の地域差・地域性―ことばの運用面に着目してー」では、どのような視点から地域差を捉えるのか、方言学の課題として、葬儀などの場での弔問の述べ方について単なる儀礼的なものから、故人の存命中の世話に対する礼などのいくつかの項目についてインタビューを行い、関東、関西、青森、愛知などの地域差を分析した内容であった。他に子守歌詞章における、おどし表現や甘やかし表現の地域差や神仏の育児語の出現有無などについても触れられた。この講演内容に対して、社会言語学的な、また仏教研究の観点から質疑応答による活発な議論が行われた。地域の文化的な違いがこうした方言だけでなく、葬儀のさいの弔問の言葉や弔辞の表現内容によって異なる点が大変興味深かかった。
高橋先生による「家族に犯罪者をもつということースティグマを鍵としてー」では、社会心理学的な見地から、犯罪者の家族を持つ人たちへのインタビューのデーターに基づく分析が報告された。これらデーターは当然ながら回収資料であり、こうした困難なインタビューによる研究は大変貴重な内容であった。家族社会学的な側面にも配慮されており、近代家族を労働力としてとらえる問題点や社会福祉学をめぐる現代的な課題にも取り組んでいる意欲的な報告であった。質疑応答では、隣接分野及び異なる分野からの質問が行われ議論が闘わされた。個人的には労働者階級への社会福祉政策の歴史において、現在の日本のこうした問題が、どう位置づけられか質問してみたかった。
教授会後の火曜日に設定したこともあり、多くの先生方にご参加いただき、分野の近い方、特に日本語を教えている方の学外からの参加もあり、また門外漢の方も含めての質疑応答など充実した内容になった。
松本佐保(人間文化研究所 所長)

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