名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

マンデーサロン

【開催報告2017年6月26日】マンデーサロン 新任教員着任講演会(桜井啓太・枝廣和憲・中野有美)

[2017年06月13日]
マンデーサロン 新任教員着任講演会
講師 桜井啓太・枝廣和憲・中野有美
2017年6月26日(月) 午後4時30分~6時
桜井啓太(講師) 「自立支援」の誕生と発展
枝廣和憲(准教授) 学校をポジティブな居場所とする実践的研究
―SWPBIS(学校環境におけるポジティブな行動介入及び行動支援)―
中野有美(教授) 私が勉強し続けている心理社会的支援法

2017年度4月に本学大学院人間文化研究科・人文社会学部に赴任された三名の方々にそれぞれの専門研究についてお話をしていただいた。
社会福祉学の桜井啓太先生からは、社会福祉における「自立支援」とは何かについてのお話があった。驚いたのは、行政用語としてはじめてこの語が使用されたのは1994年の中国残留邦人等「自立支援」法だったという事実。異質な他者をいかにして日本の労働社会に組み込むかという発想は、さまざまな事情で労働社会の外部で生きるすべての人びとを労働市場に再編入させるという新自由主義的な社会福祉の「自立支援」へと拡大し、福祉の意味を歪めてきたということだろう。
大学院の新設・臨床心理コースの枝廣和憲先生からは学校での問題行動を減少させるためのPBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports:ポジティブな行動介入と支援)という最新の方法論とその実践例を紹介いただいた。「褒めて育てる」という至極まっとうな指導法と単純に理解したが、興味深かったのは、現実の学校にこれを導入するのがいかに大変で、障害が大きいかというお話であった。日本の学校が管理教育や受験教育から脱皮するには時間がかかりそうだ。
同じく臨床心理コースの中野有美先生からは、「認知行動療法」について伺った。こころの健康が損なわれてしまった人に、自分の行動から距離を取って、それを冷静に反省する(認知する)きっかけを提供することで心の健康を取り戻してもらう治療法のようである。門外漢なのでよく理解できなかったが、無意識を意識化することに治癒の可能性を見るフロイトの精神分析とも近いのかなという感想をもった。ただ、何より印象深かったのは、長い精神治療経験をもち、他者の心に寄り添おうとする中野先生のお人柄であった。
これら多彩な研究者の参加によって人間文化研究科の学際的な研究・教育が更に発展することを期待したい。
別所良美(研究所員)

開催時のPDF版案内(会場までの地図と連絡先付)(307.4 KB)

  • 左から枝廣先生、桜井先生、中野先生

    左から枝廣先生、桜井先生、中野先生