名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

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第59回サイエンスカフェ コラム 2013年4月27日(土)

[2013年06月24日]
第59回サイエンスカフェ 2013年4月27日(土)
講師: 菊地夏野准教授(社会学<ジェンダー論>)
テーマ: 「フィリピン人女性から見た名古屋、日本」

今回のサイエンスカフェでは、婚外子の国籍訴訟について、フィリピン女性から直接お話を聞くことができた。勝訴の前例がなく難しいだろうと考えられていたが、諦めず立ち向かう姿勢に勇気をもらえた。人間として産まれてきたことに変わりないのに、婚外子ということのみで差別や不利益が生じることはあってはならないことだと思う。今回の例で違憲判決を得たことは、多様な家族が認められる形ともなり歴史的に大きな一歩だったと感じさせられた。
ジェンダー研究について研究者から直接お話を聞けたことも非常に有意義であった。フィリピン女性に教わりながら参加者みなでダンスをする場面もあり、土曜の午後の楽しい時間ともなった。
先生のお話の中で、ジェンダー研究は1980~90年代にかけてのジェンダー・フェミニズムの華やかな発展を経て、バックラッシュと男女共同参画の並行で複雑な状況を迎えているとあった。また、ジェンダー研究混迷の要因として、若い世代の保守化、女性の非正規雇用の割合が高い実態とは裏腹に、非正規雇用の男性と一部の正規雇用で生活が安定した女性を比較して、「男性の方がつらい」という言説があることが挙げられていた。その上で、今後のジェンダー研究と関連して、「女性」の一枚岩視の限界や新たなアプローチが必要であると述べられていた。
女性にとって不利な社会である現状を、単に女性の問題として片付けてしまうのではなく、性別を問わず人間として生きることができる社会を構築する必要性や、その前提としてジェンダー研究が果たす役割の重要性を感じた。

野口なつき(看護師)

第59回サイエンスカフェ 写真