名古屋市立大学 大学院人間文化研究科・人文社会学部

人間文化研究所

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マンデーサロン 2012年7月23日(月)

[2012年07月23日]
マンデーサロン 2012年7月23日(月)
講師: 金子 力さん(ピースあいち スタッフ)
テーマ:「空襲体験を記録する運動の歴史」

マンデーサロン 2012年7月23日(月)

マンデーサロン 2012年7月23日(月)

今回は「空襲体験を記録する運動の歴史」と題して、ピースあいちスタッフの金子力氏よりお話を頂いた。金子氏は永らく中学校の教師をされていたということだが、教師の傍ら空襲や戦災の記録を残す運動をされてきたそうだ。 お話は、空襲、戦災を記録する運動の歴史を中心に展開され1945年終戦から60年代は空白の時代として、その記録を残す運動はほとんどされていなかったが、70年代に入りその活動はひじょうに活発となる。60年代までは、戦後GHQ占領軍に対する配慮もあったし、日本国民があの戦争を客観視できない状況にあったからではないかと説明された。しかし、1970年に「東京空襲を記録する会」という団体が立ち上げられてから、全国的にその運動は広がっていく。90年代に入ると、米国の情報公開が進み、記録の裏づけが可能となり、様々な新情報も表面化される。とりわけ注目すべきは、市民ネットワーク団体が米国側資料の入念な調査を実施し、新事実が明確になり、それまでの通説を覆し、新たな歴史のぬりかえが成されたということである。これを学者や専門家ではなく、市民団体が行なったことに大変意義があると思われた。
また興味深かったことは、戦前米国は日本各地の都市の詳細を綿密に調査しており、来たるべく日米戦争に備えていたという事実である。この時の調査が米国にとって、後の日本空襲に有効なことになるのである。米国の徹底したその情報収集力には驚かされた。最後に、模擬原爆投下にふれられて、あまり知られていない空襲の実態を知らされた。
個人的にもたいへん勉強になったご報告であった。

門池啓史(「市民学びの会」会員)